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2019年11月号①食を育む学校給食

~おいしい給食ができるまで~

 秦野市の各小学校では、保護者が給食を試食することができる「給食試食会」

を毎年行っています。9 月に行われた東小学校(10 日)と南小学校(11 日)の

給食試食会に情報委員が参加しました。

 

安全安心な給食を作るために

 

秦野市学校給食会

献立作成委員会 

 メンバーは、秦野市立小学校の校長、給食主任、栄養士、調理員の代表です。栄養士が作成した献立原案を検討し、秦野市の標準献立を決定します。 

物資納入者選定委員会 

 メンバーは、秦野市立小学校の校長、栄養士の代表です。秦野市の学校給食に物資を納入する業者を審査し、決定します。 

物資選定委員会 

 メンバーは、秦野市立小学校の校長、栄養士の代表です。秦野市の学校給食で使用する食材を選定し、決定します。 


 

 給食献立の立て方、ご存じですか。標準献立を基本に、各小学校の栄養士が行事などに合わせてアレンジをしています。また、給食で使う食材には地元の農産物を取り入れ、児童に野菜の皮むきを体験させる授業を行う学校もあります。給食を通じて秦野の農産物を知ることで、自分の住む地域に興味を持つようになるかもしれません。また、生産者への感謝や食べ物を大切にしようという気持ちも育ちます。 

 

試食会の献立

東小(ナン・ドライカレー・野菜スープ・アセロラゼリー・牛乳)

南小(ごはん・豚キムチ・わかめスープ・ガトーショコラ・牛乳)

 

 試食会では保護者も子どもたちと同じように、「いただきます」と合掌して給食を食べ始めました。参加者からは「ナンが焼いてあって香ばしいね」「豚キムチには食物繊維を取るために寒天が入っているんだね」などと声が聞かれ、和やかな雰囲気の中、おいしい給食をいただきました。

 下膳の際、牛乳パック洗いやデザート容器の分別を行いました。牛乳パックを開くことが難しく、苦戦している保護者も多くみられました。牛乳パックを洗ったり、容器を分別したり…。小さな事ですが、未来へつながる大切な資源。子どもたちも毎日取り組んでいます。

 

牛乳パックを洗う→すすぐ→乾かす

 

 東小学校と南小学校の 1 年生と6年生全員、試食会に参加した保護者にアンケートを実施しました。 

 

Q 好きな給食のメニューは何ですか 

1年生

 ① カレーライス 115票 

 

 ② からあげ 79票 

 

 ③ 肉じゃが 35票

実施日 9 月 10 日~11 日

対象人数 282 人

回答数 270 人

回収率 95%

6年生

 ① カレーライス 92票

 

 ② ガトーショコラ 85票

 

 ③ からあげ 69票

実施日 9 月 10 日~11 日

対象人数 284 人

回答数 207 人

回収率 72%


 

 1年生と6年生で、共に1位にランクインしたのはカレーライス。また、別メニューのドライカレーは、調理員の皆さんがブラウンルウから手作りをしています。数種類の野菜をみじん切りにして、野菜が苦手な子でもおいしく食べられるよう工夫がされているそうです。子どもたちが「学校のカレーはおいしい」と言う理由もわかりますね。

 

 デザートで人気があるのがゼリーです。中秋の名月の頃に出される「お月見ゼリー」を紹介します。(下の写真)月の中にうさぎ…と、とても忠実に再現されていて季節感が感じられます。

 

 

Q 保護者が子どもの頃、好きだった給食メニューは何ですか 

 ➀ 揚げパン 64票

 

 ➁ ソフトめん 35票

  

 ➂ カレーライス 16票

実施日 9 月 10 日~11 日

対象人数 150 人

回答数 132 人

回収率 88%


1980 年代の給食

(揚げパン・ポテトサラダ・クジラの竜田揚げ・フルーツポンチ・牛乳)

 

 

 上の写真は保護者世代の給食です。1 位にランクインした揚げパンが、子どもたちの好きなメニューのひとつというのもうれしいですね。保護者のアンケートでは、懐かしのクジラ料理も多く見られました。

 

Q お子さんの食事やマナーについて気になることはありますか 

 

 ・食べるのに時間がかかる

 

 ・三角食べができない

 

 ・箸の持ち方がおかしい

 

 ・好き嫌いが多い 

 

 昔よく耳にした三角食べとは、1970年代に推奨されていました。主食→おかず→汁物・飲み物、という順番で食べる食べ方です。メリットは食べ残しがあっても栄養がバランスよく取れるところです。食べる順番が決まっているので食べるのに時間がかかる子どもには効率的な食べ方と言われています。デメリットとしては、ご飯とおかずが混ざるのを嫌がる子どもにとっては苦痛に感じる場合があること。また、汁や飲み物でご飯を飲み込んでしまい、しっかりと咀嚼をしない食べ方になってしまうと言われています。現在では、アレルギーを持つお子さんがいたり、食事や好み、食べ方に個人差があったりするので、三角食べを指導しない学校もあります。やはり一番良いのは、毎回量を調整して完食することではないでしょうか。 

 箸の持ち方で子どもの頃に苦労した経験はありませんか。子どもに正しい箸の持ち方を覚えてもらうには、まず大人がその方法を知ることです。箸の持ち方も食事中のマナーのひとつ。お互い気持ち良く食事をするため、親子で学び直す良い機会です。ぜひお子さんと一緒にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 家庭では、休日などに子どもと一緒に料理を作って楽しむとよいでしょう。自分で作って食べると「食」に興味を持つきっかけになります。それが食育の第一歩となり、日々の習慣に繋がっていきます。

    栄養士の先生から、給食作りで心がけていることをうかがいました。 

○南小・碇井 玲子先生「毎食 1000 人分以上の給食を作る調理員の皆さんにとって、働きやすい環境を作るよう心がけています」

○東小・浦部 京子先生「大きくなった時に、学校給食が食選びの基準になるくらい、心に残っていてくれたらうれしいです」

 栄養バランスが配慮され、手間暇かけて作られた食事を食べさせてくれる学校給食。子どもたちが何気なく食べている給食ですが、「いろいろな方にお世話になっている」と改めて感謝せずにいられない、ありがたさを実感しました。

 秦野市の中学校で給食が始まるまで、あと 2 年です。市の特色を生かした「秦野市中学校完全給食(秦野スタイル)」がどうなるか。給食の献立や配食方式などを話題のきっかけにして、食卓で食育トークに花を咲かせてみてはいかがでしょうか。今から楽しみですね。